世界への扉|国際協力ブログ

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NGO/NPOがクラウドファンディングを成功させる10のポイント(中編)

こんにちは!田才諒哉(@ryoryoryoooooya)です。

北アフリカに位置するスーダン共和国にて、NGO職員として活動しています。

 

今回のブログは、前回の「NGO/NPOクラウドファンディングを成功させる10のポイント(前編)」の続きになります。主にクラウドファンディングを実際にスタートしてからの話がメインです。

 

前回の記事はこちら。

www.ryoyatasai.com

 

4. 「仮説⇔実際」の差分チェックを行う

クラウドファンディングは、とにかくスタートダッシュが鍵です。目安としては、公開から5日間で目標金額の20%に達していると、成功率は90%近くまで上がります。

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具体的には、前回記事のポイント2「勝負は公開前で決まる!必ず数字で仮説をたてる」で紹介した、クラウドファンディング開始前にたてた仮説と、実際にスタートしてから1週間で得ることができた実際の数字を照らし合わせ、その差を知ることと、なぜその差が生まれたかを検証していきます。

 

例えば、以下のような仮説をたてていたとします。(CVRはConversion Rateの略で、ここでは実際に支援が行われることをコンバージョンしたとします)

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クラウドファンディング開始直後に送るメルマガで、仮説では75万円の支援を得られる予定でしたが、実際は30万円にとどまってしまった、としましょう。

このとき、「ああ、メルマガはあまり効果ないなあ」と単にこの数字だけを比較してはいけません。

具体的にどこの数字が仮説とかけ離れていたのかを発見することがとても重要です。

 

例えば、そもそも開封率が10%ほどしかなかったのかもしれません。その場合は、まずメルマガを開封してもらうために、メルマガタイトルを工夫する(個人名で〜〜様へと入れるなど)ことが次のアクションになるでしょう。

また、読まれた数(実リーチ数)は想定より高かったが、実際に支援行動まで起こしてくれた人(CVR)が少なかったのかもしれません。その場合は、メルマガ本文の文章を工夫する(左脳メッセージではなく右脳メッセージを多く使用するなど)ことが次のアクションかもしれません。

もしくは、想定より多くの人が支援してくれた(CVRが高かった)けども、支援単価が低かったのかもしれません。その場合は、「1万円では具体的にこんなことができます」と自分たちが想定している支援単価に惹きつけられるようなメッセージを追加することや、もしくは「支援が不足しています…」と泣きのメッセージを加えることも効果的かもしれません。

 

このように、開始前に数字で仮説をたてておくと、実際にスタートしたあとに得られた数字と比較して、必ずなんらかの次のアクションを得ることができます

次のアクションを知ることができたら、またその時点で数字で仮説をたて、そのまた1週間後に「仮説⇔実際」の検証、これをクラウドファンディング終了まで繰り返します。すると、間違いなくクラウドファンディング終了に近づくにつれて、より研ぎ澄まされた仮説がたてられるようになっています。

 

ファンドレイジング力をあげるには、このPDCAサイクルを、とにかく速く、速く、まわしていくことが力になると思います。

 

5. クラウドファンディング中の情報発信の頻度と質が重要

当たり前かもしれませんが、クラウドファンディング中にそのアップデートが何もないようでは、支援する人も本当にそのプロジェクトを信用して支援することができません。

多くのクラウドファンディングサイトでは「新着情報」のような機能があり、クラウドファンディング期間中も最新情報をアップしていくことができます。

 

NGO/NPOの方にクラウドファンディングで達成したいことは何ですか?と聞くと、ほぼすべての団体から「新規支援者の獲得」だと言われます。そして、そのために一番重要なのは、この新着情報を効果的に使っていくことです。

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新着情報の使い方だけでえらい量のブログが書けてしまいそうなので、ここでは少しだけ。

僕が担当させていただいたことのある団体の中でも特に上手い使い方をされているのがシャプラニールです。

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新規支援者を増やしていくためには、「どんどん人を巻き込む!」ことが大切です。クラウドファンディングのプロジェクトをいくつも成功させているキングコングの西野さんは「共犯者を増やす」という表現を使われていますが、NGO/NPOもこの視点が非常に重要です。

例えば、団体外の人から応援メッセージや応援動画をもらい、それを新着情報で更新します。すると、多くの場合、その応援メッセージや応援動画の作成に協力をしてくれた方が、自身のSNSなどでそのことを紹介してくれます。共犯者を増やすことで、その共犯者の周りの人にリーチすることができます。いくら自団体主体の発信だけをしていても、それは自団体の周りの人たち(いわば既存支援者)にしか届きません。

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NGO/NPONGO/NPOの周りの人たち(既存支援者)」ではなく、

NGO/NPO→共犯者→共犯者の周りの人たち(NGO/NPOの新規支援者)」

 

共犯者をワンクッションはさむことで、プロジェクトの広がりは大きく変わっていきます。

 

6. SNSを有効活用する

クラウドファンディングは、SNSと相性のよいツールです。SNSで積極的に拡散をはかっていきましょう。

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特に今はTwitterでもFacebookでも、どの投稿が反応が良かったかを数字で知ることができます。「どんな訴求の仕方が支援者の方に響くのか?」そんなことを常に試行錯誤しながら発信内容も都度変えてみると、たくさんの検証データが集まります。

 

また、最近はSNSで動画を投稿し、自動再生されるようにすることができるので、魅力的な動画を作成することも大きく支援につながります。

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その際、字幕は必ず入れましょう。例えば、電車の中などでSNSを見ている場合でも、音なしで動画の内容を理解することが可能になるからです。

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またSNSの投稿時間について、団体ごとに差はあると思いますが、基本的には平日なら20時〜23時くらいの比較的遅い時間帯をオススメします。

私たちの行動パターンから逆算していただければ分かりやすいと思うのですが、クラウドファンディングに本気で支援をしようと思うと何が必要か?

まずクレジットカードが必要です。クレジットカードを電車やバスなどの公共交通機関で広げて支援をポチッとっていうのは、あまり現実的ではありません。

そして初めて支援をする人であれば、アカウント作成などが必要になり、本気で支援をしようと思うと、結構まとまった時間、そして心の余裕が必要になります。

とすると、仕事が終わり、自宅に帰り、食事やシャワーを済ませ、一息落ち着いたタイミングなら、クレジットカードを取り出し、アカウントを作成したりする時間的余裕も取れますよね。

 

このように、私たちの生活行動パターンから考えてファンドレイジング戦略を考えることは、クラウドファンディングに限らず非常に有効です。これだけでもえらく長いブログが書けてしまうので、またいつか。

また「シェア祭り」というFacebookを活用したプロジェクト拡散の方法もあるのですが、これも今度1記事にしてまとめてご紹介しようと思います!

 

後編に続きます!

今回の中編では、ポイント4〜6まで、主にクラウドファンディング期間中に行うことをご紹介させていただきました。

次回の後編では、ポイント7〜10までをご紹介させていただきます。

 

少しでもご参考になれば幸いです。

なにか質問や気になることなどあれば遠慮なくご連絡ください。

連絡先:ryoryoryoooooya[a]gmail.com([a]は@に変更してください)

 

それでは!チャオ!