世界への扉 - 田才諒哉のブログ

国際協力の仕事をしています。砂漠とイスラム教の国、スーダンからお届け。

忍足謙朗さんの著書『国連で学んだ修羅場のリーダーシップ』を読んで

こんにちは!田才諒哉(@ryoryoryoooooya)です。
北アフリカに位置するスーダン共和国にて、NGO職員として活動しています。

 

国際協力の世界には、僕が出会った方、出会ったことのない方も含めて尊敬している方々がたくさんいます。

今回は、その中のお一人であり、以前「プロフェッショナル」に出演されていたのを見て、自分もこんな仕事、そして仕事の仕方をしたいと強く思った、元国連職員の忍足謙朗さんの著書『国連で学んだ修羅場のリーダーシップ』を読んだ感想を書きたいと思います。

国連で学んだ修羅場のリーダーシップ

国連で学んだ修羅場のリーダーシップ

 

 

内容についての感想

自衛隊の引き揚げで話題になったスーダン、今や世界中の注目を集める北朝鮮、その両国で継続的な食糧支援の指揮をとった日本人がいる。
忍足謙朗、元国連WFP(世界食糧計画)アジア地域局長。
その使命は、過酷な地で明日の食べものに困る人々に、いかなる方法であろうと食糧を届けること。
彼は30年以上にわたって国連に勤務し、常に緊急支援の現場の最前線に立ってきた。
2006年にはスーダン共和国で世界最大規模となる緊急支援の指揮を任され、77国籍からなる3,000人のスタッフを大胆かつ思いやりのあるリーダーシップで導く。
紛争や自然災害で混乱した修羅場において、異なる国籍の人々をどのように束ね、一つの目的に向かわせるのか。グローバルに通用するリーダーシップについて綴ったのが本書。(Amazon 内容紹介より引用

 

全体として、国連の事業インパクトの大きさや、組織にもよるのだと思いますが、WFPやUNICEF、UNHCRのように国連の中でも現場に比較的近い組織にとても魅力を感じる内容でした。

 

特に印象的だったのは、北朝鮮スーダンの2つのパート。スーダンはもちろん、いま自分が働いている場所だという理由ですが、北朝鮮も、交渉ごとは全て文書に残すことなんかはスーダンとかなり状況が似ているなと感じました。

また仕事の仕方という意味では、業務外での飲みの場などでカウンターパートやローカルスタッフとの関係性を深め、そこで得た一つの小さな許容が、仕事での少し大きな許容に繋がるという部分にはとても共感しました(スーダンはお酒はないですが・・・)。仕事以外の場でのことが、結局仕事を前に進めるきっかけになったことは自分の経験の中でもたくさんあります。

 

もともとスーダンは、元国際連合事務総長のコフィー・アナンさんの直接交渉によりようやく支援が実現したという経緯もあり、外国からの支援にあまり好意的でない国です。ときに支援活動は煙たがられ、特にインターナショナルスタッフと現地住民との接触は、政府のセキュリティーの同行なしには許可されない場合が多いです。

でも、スーダンへの支援が始まった当時から比べると、少しずつ支援活動が認められてきているのは事実で、現在は日本のNGOも3つしかないけれども存在しているし、INGOやUNのプレゼンスも上がってきていると現場にいて感じます。

そしてやはり、まだまだスーダンは支援が必要な国だと思いますし、そして必ずその結果、国が良くなると信じて活動をしています。

 

スーダンパートでは、仕事の部分だけでなく、生活や文化の話にもとても共感しました。羊の生レバー、本当に美味しいんだよなあ。

 

「お金」の重要性

この本を読んで改めて感じたのは、「お金」の重要性です。

「お金」を考える上で大事なことは、「時間」や「支援の質」を買えるということです。私たちの一番の目的は受益者の方々へのサポートであり、特に緊急支援や命に関わる医療支援の現場では、「時間」に対する優先度は一気に上がります。

 

例えば、こんなシチュエーションがあったとします。

  • ドナーA
  • INGO
  • 現地NGO

この事業は、ドナーAからのお金で成立しており、INGOは事業の全体コーディネートと現地のスーパーバイズ。実際に現場で支援活動を行うのは、現地NGOなどのインプリメンターがいて行われているとします。

ここで想定される問題として、ドナーから入ってくるはずのお金が手続きに時間がかかりなかなかINGOに入ってこないことが起こりえます(こういうこと、結構あるんです…)。特にドナー機関が大きければ大きいほど、内部決済などにも時間がかかるのだろうと思います。そのとき、状況によってはINGOがお金を自団体から捻出してでも、現地インプリメンターに支払いをするという選択を取ることがあります。なぜならこの事業は、その先にいる人の命を救うことが最優先だからです。

国際協力の現場でお金の流れがストップすることは、救えるはずの命が救えなくなる可能性が高まることを意味します。

 

そして「スピード」の重要性

もう一つ、忍足さんの著書から学んだことは、現場での「スピード」感の重要性です。もちろん、できる限りの必要な情報収集などは怠るべきではありませんが、「決断」を下すことをためらってはいけないのだと思いました。

緊急支援の現場ほど、今の僕たちの活動は決断の速度に左右されないかもしれませんが、医療支援という人の命が関わっている事業を展開している以上、「時間」がその命を脅かす可能性は否定できません。

だからこそ「決断」までの「スピード」は意識していきたいと思いましたし、その決断で用いられるある種の「勘」のようなものは、経験から養われるんだろうなあと思いました。

僕らのような小規模NGOは、意思決定プロセスにかかる時間も最小限なので、団体としての「機動力」は衰えさせないようにしていきたいですし、そこがNGOの面白いところだと感じています。

 

とにかく読んでほしいです!

自分の今のスーダンでの仕事と結びつけて感想を書きましたが、とにかくすべてが響いた一冊でした。その働き方と信念に心を打たれること間違いなしで、国際協力に関わるすべての人におすすめしたいです。そして一番響いた忍足さんの言葉を以下に引用させていただきます。

 

ことを正しくやるより、正しいことをやれ
Do the Right thing v.s. Do things Right

 

支援の現場にいると、複雑な状況の中で判断に迷うこともとってもたくさんあります。そんなとき、前例や現地の商習慣にとらわれず、今何が求められていて、現地の人々にとって何が一番良いのか、常に頭を柔らかくしながら考えていきたいと思いました。


判断が難しいとき、何を大切にしながら仕事をするべきなのか。自分が将来目指したい国際協力の仕事の姿に光が見えた、そんな最高の本でした。

 

国際協力や国連での仕事に興味のある方はぜひ読んでみてください!そしてその感想もぜひ聞きたいです!

 

それでは!チャオ!