世界への扉|国際協力ブログ

国際協力の仕事をしています。アフリカや南米など、世界を好きになる情報を発信していきます。

国際協力2.0とは?新しい国際協力について考えてみた。

こんにちは!田才諒哉(@ryoryoryoooooya)です。
だいぶ遅くなったのですが、先日「国際協力2.0 -U30が創る #新しい国際協力-」というイベントを開催しました。f:id:ryoya_tasai:20180628032737j:plain 
運営ボランティアの方も含めて140名を超える方にご参加いただき、これからの国際協力についてお話しました。
当日の様子はTBSにも取材していただき、アーカイブでご覧いただけるので、ぜひ見てみてください!
http://news.tbs.co.jp/sp/newseye/tbs_newseye3391774.htm?1528949607028 
 
さて、参加者がほとんど20歳前後だったこともあり、イベントの雰囲気もゆるく、できる限りわかりやすい表現を使いながら進行していたのですが、ここではもう少し突っ込んで、
「国際協力2.0とは何なのか?」
「新しい国際協力って結局なんなの?」
ということを書いていきたいと思います。
 

イベントで感じた違和感…

いきなりなのですが、「ちょっと失敗してしまったなあ…」と反省したことがあります。
 
それは、新しい国際協力、特にSNSの活用や誰でも気軽に国際協力に取り組めるようになった、などの話に傾倒しすぎていたということです。
もちろん、どちらかというとそういう趣旨のイベントで、「100人いたら100通りの国際協力への関わり方がある」ということを提示したかったのは事実なのですが、ぼくの中では若干のしこりが残ったままイベントを終えてしまいました。
 
翌日、ぼくが大尊敬している、特例認定NPO法人e-Education代表理事の三輪開人さんとお会いする機会があり、その違和感を率直にぶつけてみました。
 
「国際協力の大枠を大局的にとらえる視点があって、はじめて"新しい国際協力"を考えられるんじゃないか」
 
三輪さんはもともとJICA(国際協力機構)で働かれており、円借款や技術協力などODAのお金の流れも熟知されたうえで、現在はNPOという立場から、国際教育支援にITを活用したアプローチで関わっています。
そんな国際協力の潮流を知り、草の根から新しいうねりを生み出そうとしている三輪さんの言葉に、とてもストンと落ちるものがありました。
 
つまり、当たり前のことなのですが、「今までにない道を開拓する(道を外れる)ためには、もともとある道を知り尽くしていなければ、道を切り開けない(外れられない)」ということです。
 
だからこそ、イベントで伝えきれなかったとっても大切なことは、この道で長年活躍されている方、特にみなさんが日頃SNSなどで目にできないような「国際協力のプロフェッショナル」の働き方を自ら追い求めてほしい、ということです。
 
これからの時代はおそらく、昔は国際協力の世界で働くなら王道であったJICAなどの政府機関やUNなどの国際機関ではなく、民間企業やNGOといったセクターから国際協力に関わる人が増えてくると思います。
だからこそ、逆にJICAやUNなどで今後活躍できる人材は、むしろ希少で貴重なんじゃないかと思っています。
 

国際協力1.0とは?

「国際協力2.0」を考える前に、まずは「国際協力1.0」について考えたいと思います。
 
国際協力1.0は、ODAによる二国間援助(バイ)や国際機関による支援(マルチ)が主流だった時代だと考えています。
具体的には、日本の国際協力の文脈だと、ODA実績世界一位をキープしていた2000年頃まででしょうか。
 
そして、1995年のボランティア元年、1998年の特定非営利活動促進法NPO法)制定など、国際協力1.0が終焉をむかえるころには、民間による活動の流れがすでに生まれてきていました。
 

国際協力2.0とは?

国際協力2.0は、グローバル企業が国家以上の影響力をもつようになったり、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の台頭など、民間の力が大きく世界を変えるようになった時代を指すと考えます。
日本の文脈だと、2000年〜2010年までの国際協力1.0から2.0への移行期(国際協力1.5?)を経て、ソーシャルビジネス元年といわれる2011年くらいからが「国際協力2.0」に突入した感覚です。
 
ただ、国家→民間の話はずっといわれてきたことでもあって、個人的にはその先の「国際協力3.0」くらいを考えたいと思っています(勝手に名付けながら解釈を進めてて恐縮です・・・)。
 

国際協力3.0とは?

ぼくが考える「国際協力3.0」に欠かせないポイントは「テクノロジーと国際協力の融合」です。
 
中でも大きな転換点は、テクノロジーの力で個人が生きるために必要なお金を稼げるようになることです。
 
クラウドクレジットに代表されるソーシャルレンディングの仕組みを使い、CtoCで個人がつながるようになったり、ID2020に代表されるブロックチェーン技術を活用したプロジェクトの発展により、難民であってもIDが付与され、職を手に入れることができるようになるなど、貧困をなくすための大きな鍵となる「お金」の問題が大きく解決の方向に動く可能性があります。
 
先日、Peer-to-Peerの重要性についてブログで書きました。

www.ryoyatasai.com

 

メルカリやUberのようなCtoCサービスが広がっている世の状況を考えると、今までのように国家やNGOが仲介せずとも、テクノロジーの力によって、必要な支援が必要な人のもとへ届く仕組みが完成するのではないかと考えています。

 
つまり国際協力3.0の世界では、国家や民間企業、NGOなどのアクターが主体となり国際協力を行うのではなく、途上国の人々が、個人でファンドレイジングしていくことが国際協力の主流になるのではないか?というのがぼくの仮説です。
 
「個人のファンドレイジング力」はこれからの世界を生きる上で必須の能力になってくるはずなので、ぼくが国際協力をしながらファンドレイジングに関わる部分はそこにあります。最終的には、途上国で生きる人たちのファンドレイジング力を高めるようなサポートがしたいです。
 

まとめ

「国際協力1.0」にはじまり、「国際協力2.0」、そして「新しい国際協力」として「国際協力3.0」の世界を仮説的に書いてみましたが、あくまでもぼくが考える仮説なので、ぜひみなさんが考える「新しい国際協力」の展望についてご意見を聞かせていただけたら嬉しいです。
 
そして改めまして、イベントに参加してくださったみなさん、ありがとうございました!
僕自身、まだまだ「国際協力」というものをしっかり定義できておらず、改めて見つめ直すキッカケとなりました。
ひそかに「第2弾もやりますか!」延岡由規くんと話をはじめているので、またみなさんにお会いできることを楽しみにしています!

f:id:ryoya_tasai:20180628043123j:plain

 

それでは!チャオ!