こんにちは!田才諒哉(@ryoryoryoooooya)です。
先日、世界銀行が貧困の定義を1日5.5ドル(約610円)以下に拡大し、世界人口の半数近くが1日5.5ドル以下の収入で暮らしていると報告しました。
もちろん、通貨間の価値の違いなど様々な要素が引き上げた理由になっていると思いますが、初見の感想は、「広がりすぎじゃない・・・?」でした。
次は何ドル以下になるのでしょうか?
現定義での貧困の数が減ると、貧困の定義域が広がり・・・という、いたちごっこが今後も繰り返されるのでしょうか?
貧困の定義と種類
貧困にはいくつかの種類があります。
絶対的貧困(Absolute poverty)
1日1.9米ドル(購買力平価*)以下で暮らす人たち。
食糧や住居など、生きる上で最低限必要とされるものを得ることも難しい場合が多い。
*購買力平価(Parchasing Power Parity: PPP)
通貨間での購買力の差を調整したもの。例えば、「1米ドル=1,200タンザニア・シリング(TSh)」の為替レートとしたとき、アメリカでは「1米ドル=パン1巾」買えるが、タンザニアでは「200Tsh=パン1巾」買えるとすると、購買力平価を使ったレートは「1米ドル=200TSh」になる。
相対的貧困(Relative poverty)
主に先進国で使われる。所得の中央値の半分に満たない人たち。日本も7人に1人がこの相対的貧困に分類されている。
ベーシック・ヒューマン・ニーズ
経済学者のアマルティア・センにより提唱された「Human Development Approach」がこの考えの起源。収入だけでなく、教育や保健へのアクセスも人間が最低限必要とするものとする。
社会的排除(Social exclusion)
マイノリティに焦点をあてた考え方で、社会的、政治的、経済的に排除されている状態も「貧困状態」にあるとみなす。
貧困は測り方によって変化する曖昧なもの
上記にあげたもの以外にも、脆弱性**(Vulunerability)、多元的貧困(Multidimensional Poverty Index: MPI)など色々な貧困の見方があります。
**気候変動、干ばつ、洪水の影響の受けやすさ、障がいや経済的リスクを追いやすいなどの観点から捉える貧困の種類。
例えば、多元的貧困アプローチを使うと、世界人口のうち、16億人が貧困とされています。具体的な国でみると、メキシコ、パキスタン、エジプトは、絶対的貧困の数と比較して、多元的貧困の数は2倍以上になるなど、貧困は計測のしかたによって大きく変化するものなのです。
貧困を解決するってつまりどういうこと?
「貧困」は測り方によって数字が変わる、いわば人為的につくられた得体のしれないもの。
「目の前の人を救う」だけじゃ根本の原因は解決しないと思い、より専門的に開発・貧困について大学院で勉強しようと思ったのに、気づいたら「貧困を解決する」より「目の前の人を救う」ほうが、合理的かつ人間的アプローチなんじゃないかと思い始めたのは、なんとも皮肉なもんやなあ、って思います。
はたして「貧困」がなくなる世界は、実現可能なのでしょうか?