こんにちは!田才諒哉(@ryoryoryoooooya)です。
北アフリカに位置するスーダン共和国にて、NGO職員として活動しています。
ずっと、ずっと、まとめたかった記事を7ヶ月ぶりにまとめます。。
日本ファンドレイジング協会が主催する「ファンドレイジング日本」というイベントをご存知でしょうか?
年に1回の日本最大級のファンドレイジングイベントに、2016、2017年と2年続けて登壇させていただきました。
今回は、2017年に登壇した際にお話させていただいた「クラウドファンディングを成功させる10のポイント(NGO/NPO編)」を、前編・中編・後編に分けてブログにまとめたいと思います。(本当は中編なかったのですが、書いていたら長くなったので3分割することにしました)
画像は実際に当日使用した僕のスライドを使用しています。
1. ファンドレイジングの目的を明確にする
当たり前ですが、ここが明確でないと支援者の集め方、広報戦略の立て方も大きく変わってきてしまいます。
- とにかく目標金額を達成するという「お金」が最優先
- 新規支援者の割合を全体の支援者の5割以上にしたい
- ファンドレイジングを新しい職員が実戦で学ぶ機会にしたい
色々な目的があると思います。極端な話、現地でどうしても事業費が必要で「お金」がとにかく最優先なのであれば、「既存支援者かつ高額寄付者」の少数の人たちだけに集中するのが一番効果的な戦略かもしれません。
クラウドファンディングを実施する期間の中で、いくつかの広報施策を実践していくと思うのですが、その際、最初に明確化したこの「ファンドレイジングの目的」に常に立ち返ることが重要です。でないと、途中で支援が停滞したときに、むやみやたらに広報をしまくって、目標金額は達成したものの「あれ、なんか思っていた結果とちがう」ということになりかねないので注意しましょう。
例えば、「認定NPO法人テラ・ルネッサンス」を担当させていただいた際には、団体創設者の鬼丸さんを表に出さず、また広報についてもインターン生が主導で行う、ということを最初に決めた上でクラウドファンディングをスタートし、目標金額である420万円を達成しました。
これは同じ420万円であっても、インターン生が主導となり集めたことにとても意味があると思っています。このときにどんな広報施策を実施したか、その虎の巻が団体に蓄積されることで、また次のキャンペーンをインターン生が主導となって行うこともできます。ファンドレイジング力の向上とともに、団体の組織力までも大きくあげた素晴らしい例だと思います。
2. 勝負は公開前で決まる!必ず数字で仮説をたてる
これはもうとにかく重要で、必ずすべての広報施策について数字で落として考えます(ポイント4につながってきます)。
「始まる前からそんなのわからないよ!」と、たしかにそうなのですが、これをやる・やらないの差は、ファンドレイジングキャンペーンを続けていくにつれて必ず出てきます。
具体的には、ドナーチャート(達成に必要なそれぞれの金額帯の支援者の分布)ならこんな感じです。平均的には、それぞれの金額帯に必要な支援者数に対し、×4をした数が実際に必要なアプローチ数になる傾向があります。4人に支援のお願いをしたら、1人から支援される、ということです。
ただしもちろん、プロジェクトによってもまちまちで、あくまでも平均的な傾向です。最初の仮説立てのときには「×4」で考えて、その後結果と照らし合わせて微調整していけば良いと思います。
僕もファンドレイジングのサポートを始めたばかりのころは、ほぼ当てずっぽうに近かったかもしれません。でも、最終的に200件以上ものプロジェクトをサポートしていると、「このプロジェクトはこのプロジェクトの状況に近いからこのくらいの数字で仮説をたてよう」とか自分の中で確実に経験値が溜まっており、仮説の精度は間違いなく研ぎ澄まされます。
NGO/NPOなら、「前回のキャンペーンではこのくらいの数字だったから、その数字を参考に仮説をたてよう」ということができ、それを繰り返していくことで、年々ファンドレイジングの力がアップしていきます。
3. 「リターン」で悩む必要はない!
クラウドファンディングのプロジェクトを設計する上で、特に悩むポイントが「リターン(支援者にお返しする物、またはサービスなど)」だと思います。
NGO/NPOであるとなおさら、「グッズとかうちの団体にはないしなあ」「リターンを送るのが大変だなあ」と思うのではないでしょうか?
でもここ、NGO/NPOであれば特に、一切悩む必要はありません。
実際NGO/NPOにクラウドファンディングで寄付をする人たちが、リターンとしての物品を求めて寄付をすることはほぼありません(商品開発やものづくり系のプロジェクトを除く)。
むしろ、「物はいらないのに」と思って支援を遠慮してしまう人さえいたりします。
ですので、基本的にはリターンを設定するとしても、支援者への感謝の気持ちを伝える「サンクスレター」、実際にお金をしっかり使ったことを報告する「活動報告書」のみで充分だと思います。
実際、僕が実行者となってクラウドファンディングをやった際にも、特にひねったリターンは何も加えていません。
ただ、せっかくならなにか!ということであれば、「リターン」を考える発想法は、「団体の課題を解決する手段」と捉えることです。
僕がいつもNGO/NPOの方々とリターンを考えるときにやるワークショップの順番は以下です。
- まず現在団体が抱えている「課題」を洗い出してみる
- その「課題」はなぜ解決できていないのか「原因」を考える
- その中に「支援者」の方を巻き込むことで解決できるものがないか?
「課題」は団体によってそれぞれだと思いますが、よくNGO/NPOの課題の「原因」としてあがってくるのが、「人手が足りない」です。なら、これを「リターン」で解決できないか?と考えてみましょう。
例えば、上のスライド画像の中にもありますが、「一日職員体験」というリターン。
支援者の方に1日だけNGO/NPOの職員になっていただき、業務の一部を実際に経験していただきます。
「そんなのリターンなの?むしろ負担なのでは?」
と思われるかもしれませんが、支援者の中には、もっと団体の活動を知りたい!という気持ちをもった人が多く、近年プロボノに注目が集まってきたこともあり、NGO/NPO活動が実際どんなものなのかを知りたいニーズはますます高まってきていると感じています。
ひょっとしたら、これがキッカケで本当に団体のプロボノになってくださる方もいるかもしれません。
もう一つ、よくあがる「課題」として「イベント集客」というのがあります。ならばリターンに「イベント参加権」をつけちゃえばいいのです。こうした発想でリターン設計をしていくと、オリジナリティのある面白いプロジェクトができあがります。
もう一つ小技ですが、リターンの名前をひねるだけで「なんか」すごそうに見える、という技です。秀逸なのは、僕の元インターン先「e-Education」創設者で、仲良しの税所篤快さん。
「ソマリ革命戦線秘密基地の会員証」とか、かっこいいー、ってなります。
すごく普通に書けば「会員証」なわけで、これは相当印象に大きな差を与えます。
中編に続きます!
ここまで3つのポイントを紹介してきました。主にクラウドファンディング開始前のプロジェクト設計、広報戦略をたてる上でのポイントでした。
次回は、ポイント4以降、実際にクラウドファンディングをスタートしてからのことについて、また事例も交えながらご紹介させていただきます。
本当は前編・後編で済ませる予定だったのに、書いていたら熱が入ってしまい長くなってしまいました。。笑
みなさまのお役に立てれば幸いです!
なにか質問や気になることなどあれば遠慮なくご連絡ください。
連絡先:ryoryoryoooooya[a]gmail.com([a]は@に変更してください)
それでは!チャオ!