こんにちは!田才諒哉(@ryoryoryoooooya)です。
6月17日〜20日まで、バンコクで開催された「IFC ASIA 2018(国際ファンドレイジング会議)」に参加してきました。
世界32ヶ国から400人以上のファンドレイザーが集まり、フレームワークから実際のプラクティスのワークショップまで幅広く学ぶことができました。
また国際会議らしく(?)カクテルパーティーや、夜になるとディスコもありで、世界中のファンドレイザーの方と交流できたことは本当に財産でした。
せっかくの学びを共有したく、少しずつブログに書き起こしていこうと思います。
今回は、これからのファンドレイジングを大きく変える可能性のある「Peer-to-Peer」のファンドレイジングについて紹介します。
Peer-to-Peer ファンドレイジングとは?
日本だとまだあまり聞きなれない言葉かもしれません。Peer-to-Peer(以下、P2P)を辞書で調べると「対等な者どうしの間の」なんて意味が出てきますが、ファンドレイジングの文脈にあてはめてすごく簡単に説明すると、組織がファンドレイジングするのではなく、個人が個人に対してファンドレイジングする、ということです。
たぶん図の方がわかりやすいので、図で説明。こんなイメージ。
これまでのファンドレイジングでは、NPOなどの組織がドナー(寄付者)を獲得するために広報を行うというのが一般的でした。
しかし、ご存知の通り、NPOは人的・資金的リソースも少ないため、どうしてもキャパシティの限界にぶつかってしまう組織が多いです。
そこで今、世界的に注目されはじめているのが、P2Pのファンドレイジングです。
P2Pでは、NPOなど組織がドナーを獲得しにいくだけでなく、「ファンドレイザー」となる支援者を生み出し(育成し)、そのファンドレイザーがドナーから寄付を集めるという手法をとります。
わかりやすい例でいうと、マラソン大会に出場する友人に寄付をすると、そのお金が特定のNPO団体に寄付されるという仕組みはP2Pで、この場合はマラソンランナーが「ファンドレイザー」ということになります。
P2Pの種類と具体例
P2Pのファンドレイジングは、大きく2種類に分かれます。
1つ目が「DIY(Do It Yourself) 型」。自分たちの組織でファンドレイザーを生み出していくかたちです。
例えば、世界的に有名なNGO「charity: water」のホームページでは、「DONATE」のボタンだけでなく、必ず「FUNDRAISE」のボタンが並列されており、このボタンをクリックすると、バースデードネーション*のかたちでその人自身が寄付金を友人から集めるというP2Pファンドレイジングへの誘導になっています。
*誕生日をきっかけに、特定の団体への寄付を呼びかけ、誕生日プレゼントなどのお祝いをもらう代わりに寄付金を友人・同僚から集め、特定の団体へ寄付する仕組み。
2つ目は「Event型」。先ほどあげたマラソン大会や、クライミング、サイクリングイベントなどがこのかたちになります。
P2Pのファンドレイジングがなぜ良いのか?
ぼくが考える、P2Pのファンドレイジングの長所は以下です。
- 友人や同僚からの呼びかけの方が、寄付へのハードルが下がる
- 小さいNPOでも、ファンドレイザーをうまく生み出せれば、支援の輪が一気に広がる(組織のキャパシティに依存しない)
- マラソン大会への参加など、挑戦者を応援する文化が生まれ、社会に寄付文化が醸成されるとともに、寄付がよりカジュアルにすらなる
要は、P2Pのファンドレジングがどんどん生まれていくと…
お金を人に託すという行為が日常的になる
↓
社会の寄付文化が育っていく
↓
NPOへの寄付も集まりやすくなる
というのが仮説で、ぼくが一番いま思っていることは「寄付文化を育てたいなら、ファンドレイザーが生まれる文化を育てるのがいい」ということです。
そういう意味では、最近、polca(ポルカ)を使ってお金を集める人が増えていることは、ファンドレイザーがどんどん生まれているということなので、日本の寄付文化の発展に大きく貢献しているのではないかと思います。
まとめ
P2Pのファンドレイジングについてご紹介させていただきました。
日本ではまだDIY型のP2Pを行っているNPOは少ないので、この分野に取り組む団体が出てきたらおもしろいなと思ったのと、組織がファンドレイジングする時代は終わっていて、個人がファンドレイジングをする時代が徐々にやってきているなーというのが所感です。
世界のおもしろいP2Pの事例とかあったら、ぜひ教えてください!
あと、ぼやきですが、なんとなくPeer-to-Peerのままの名前だと日本で流行らない気がするんですよね…
なんか日本語にうまく当てはまるコトバないんだろうか。
それでは、チャオ!